変化する学生たちの就職状況。コロナで地方企業への就職希望が増加

2020年初頭より、日本国内でも猛威を振るう”新型コロナウイルス感染症”。その影響は、就職活動を控える学生たちの就活事情にまで及んでいます。株式会社いよぎん地域経済研究センター(IRC)が行った愛媛県内の大学生に対する意識調査では、コロナ下において学生たちが選ぶ就職先について、「地方企業への就職を希望する」という声が増加傾向にあることが分かりました。今、学生たちが何を思い、またどのような考えを持っているのかを知ることで、地方企業側は人材の確保に先手を打つことができそうです。

就職希望場所に変化。地方への就職を希望している学生が増えている

出典: IRC 株式会社いよぎん地域経済研究センター

IRCでは2009年より愛媛県内の大学生を対象に、学生たちの生活ぶりを把握するためのアンケートを行っています。コロナの影響により、ウェブ上での実施となった2020年6月中旬から7月下旬のアンケートでは、愛媛大学・松山大学の学生357人がコロナ下での生活実態について答えています。

アンケートでは、将来を決める就職先について11.8%の学生が就職希望場所に「変化があった」と答えており、そのうちの78.6%は「地方企業への就職」を希望していることが明らかになりました。特に都心部や都会など、人口が集中する場所でのコロナウイルス感染拡大が取り沙汰される中、感染リスクを踏まえた学生たちの視点は、都会から地方へとその方向性を変化させています。

新型コロナの影響を肌で感じている学生たち

同アンケートでは就職希望先の他にも、コロナ下での学生生活に関するあらゆる事柄について調査が行われています。学生生活における意識調査では、「生活に不安」と答える学生が9割を超え、そのうち「就職活動に関する不安」を抱えている学生が87.6%を占めています。

また経済面におけるアンケートでは、月間平均収入が2019年の結果に比べて0.7万円減の9.2万円となっています。実家から学校に通う自宅生 は、親からの援助や奨学金によりマイナス補填ができているものの、アルバイト収入は減少。一人暮らしや寮から学校に通う自宅外生 は、親からの援助やアルバイト収入が減少傾向にあることも明らかになりました。月間総支出額に関しては、新型コロナ感染拡大による自粛の煽りを受けたこともあり、娯楽費を中心に0.5万円減少の7.1万円という結果になりました。

”新型コロナウイルス感染症”の影響によって、学生たちの生活における収支の幅はより狭くなり、また今後の就職活動にも不安を抱える人が多いことが分かります。彼らは、新型コロナによる学生生活への影響をダイレクトに肌で感じていると言えます。

就職活動の幅が広がる”オンライン”の活用

これからの生活を言い表す「アフターコロナ」や「ウィズコロナ」という言葉も目立つようになってきた昨今ですが、そんな中、学生たちは現在の生活において遠隔での冠婚葬祭や診察、飲み会など、オンラインの活用に積極的です。

同調査では学生の8割がオンラインでの就職説明会に肯定的と回答。就職面接やOB訪問についても約50%が肯定的であることも明らかになりました。

オンライン就活で学生たちが感じているメリットとして、「交通費が節約できる(60.2%)」、「時間が節約できる(40.3%)」といった項目が挙がっており、一方デメリットとしては「企業の雰囲気が分からない(67.8%)」「回線トラブル(58.0%)」という項目がそれぞれ上位に挙がっています。

また、学生たちが日頃から接する遠隔授業に必要と感じていることについては、「システムの使いやすさ(66.7%)」「教員と学生のITスキル(49.6%)」「教員と対話ができる機会を増やすこと(37.0%)」となっています。

不安を抱える学生たちの活動の幅を大きく広げるきっかけとなる、オンラインでの活動。彼らを取り巻く環境は変化しており、オンラインを活用した就職活動にも大きな関心が寄せられています。

地方企業への関心が高まる学生の就職活動

将来の見通しへの不安など学生たちの生活に大きな影を落とすコロナ禍ですが、そんな暮らしの中で学生たちの意識は変化しており、今後の就職先として”地方への就職”を希望する学生が増加傾向にあります。大学の授業や冠婚葬祭、飲み会など、本来は対面のみで行っていた学生たちのあらゆる活動は、感染リスクが高まる”3密”を避けるため、オンラインを介した遠隔での活動へと切り替わりを見せています。

経済的・時間的な節約にも繋がるオンライン活動に肯定的な学生が増える中、地方企業側が対面・遠隔によるハイブリッド型就活の土台を構築することで、学生たちの選択の幅も広がり、新卒生の採用率を高めることに繋がりそうです。