今治のタオルブランド” IKEUCHI ORGANIC ”が実現する、愛媛を輝かせる”ものづくり”

日本のみならず、先進のタオルブランドとして世界へと活躍の場を広げる「IKEUCHI ORGANIC株式会社」(以下、イケウチオーガニック)。最大限の安全性と最小限の環境負荷を実現するという池内計司(いけうち けいし)代表の想いを軸に、風力発電で生み出した電気とオーガニックコットン100%でタオルをつくる企業です。創業120周年に当たる2073年までに”赤ちゃんが食べられるタオルをつくる”という、他に類を見ない商品開発目標を掲げる同社の池内代表と代表秘書の澤井謙次(さわい けんじ)さんにお話を伺いました。

ファンをも巻き込む” IKEUCHI ORGANIC ”

愛媛県今治市に本社を構えるイケウチオーガニック。同社は” 徹底的に環境に配慮した商品をつくる ”という姿勢のもと、SNSやオウンドメディアを駆使したPR戦略に加え、店舗内ではタオルソムリエがお客様に合ったタオルを選ぶというプロフェッショナルな接客スタイルを展開。その一貫した姿勢に魅了されてファンになる若年層も多く、今では幅広い世代から愛されるに至っています。

澤井さん:僕らが普段語っている言葉の中には、想いだけではなく行動がともなっているという自負があります。ただ、地場産業のひとつという側面もありますから、全てがスタイリッシュという訳ではありません。

首都圏では人気の”オーガニックなテキスタイルカンパニー”であるが、地元・今治市では地場産業を支える”タオル屋”の一つでもある。両方の顔を持つイケウチオーガニックは、首都圏のイメージと地元のイメージに差があるとも言います。

澤井さん:東京でのイメージとは違い、地元ではタオル屋なんです。地場産業の一部です。ただ、私たちがオーガニックで目指す目標を達成するためには、今治タオルという枠組みから出る必要もあります。

“赤ちゃんが食べられるタオルをつくる”という同社の目標は、地域全体の取り組みではないため、時として歩む道が異なることがあると澤井さんは言います。

澤井さん:しかし私たちは、恩返しというのはおこがましいかもしれませんが、地域貢献の一つとして、これからも今治タオルをリードしていきたいという想いがあります。その取り組みを多くの方々にも知っていただき、他の都道府県の方だけでなく、地元の方にもぜひ入社して頂きたいと思っています。

前身の” 池内タオル ”からリブランドを経て現在の形に変化を遂げた” イケウチオーガニック ”では、タオルの愛用者が入社するケースもあるとのこと。澤井さんもまた、イケウチオーガニックのファンという立場から入社へと至った人物のひとりです。

” IKEUCHI ORGANIC ”愛用者から従業員へ

愛媛県松山市で生まれ育ったという澤井さん。前職では飲食業界に身を置き、多くの業態を展開する企業で責任者などを務めていました。

澤井さん:最初に勤めた企業ではがむしゃらに仕事をしていました。そして、会社の業績は急成長したんです。急成長して、会社の財務状況は非常に良くなりましたが、僕が本当にやりたいことは何なんだろうと考えることも多くなりました。もちろん前職の職場に不満があったわけではありません。

当時の澤井さんは、イケウチオーガニックのタオルを自分用や贈答用として愛用。ユーザーという立場で、イケウチオーガニックと接してきました。

澤井さん:イケウチオーガニックが定期開催しているイベントなどに出席する中で、代表の池内と出会いました。その後はプライベートで会うようにもなり、イケウチオーガニックの理念や活動に共感し魅力を感じるようになり、”今の会社を離れて、池内さんの所で働きたい”と希望を伝えたのですが、ずっと断られ続けていたんです。(笑)

それから池内とは2年ほど関係が続きました。最終的に私は、すべてのキャリアを投げ捨てて転職を決意し、池内が入院しているタイミングに今しかない!と現在の社長の阿部に履歴書を送りつけたんです。(笑)

澤井さんがイケウチオーガニックに入社したのは40代前半。池内代表が体調を崩して入院し、社長が現在の阿部さんに交代するタイミングでの入社でした。

愛用者だからこそ伝えられること

タオル業界未経験でイケウチオーガニックに入社することになった澤井さん。最初は見通しが付かない不安もありましたが、現在では多岐に渡り社内で活躍しています。

澤井さん:基本は管理部で財務に関する業務を担当しています。金融関係の方々とのやり取りや、その他にはプロジェクトマネージャーとして社内のコミュニケーションの橋渡しを担います。

その他飲食店での経験を活かし、ファクトリーストアの店長業務にも携わる澤井さんは、イケウチオーガニックのユーザー時代の経験が販売に生きていると言います。

澤井さん:以前私は入院して手術を行ったのですが、その時も薄手の”オーガニックエアー”というイケウチのタオルを持参して入院しました。術後に自分をくるむタオルとして。「こんなに薄いタオルだと破れるよ」と言われたのですが、薄手なのに体全体を受け止める破れないタオルに医師も驚いていましたね。今私は、このエピソードをお客様に話すことがあります。ユーザー時代の想いは、そこに仕事が絡んでないからこそしっかりと伝えられるんです。

本物に触れる。” IKEUCHI ORGANIC ”の考え方

今治のタオル業界だけでなく、他の産業と比べても休みの日数が多いイケウチオーガニック。そこには、”ものづくり”に関する大切な理由が隠されています。

澤井さん:休みが多い理由には、池内の”休暇の間に本物に触れなさい”という想いがあります。美術館に行くなど、なにか本物に触れて心を豊かにすると、いいものが作れるという考え方が根本にあります。

イケウチオーガニックでは、1日の労働時間は他社に比べて1時間程度長いものの、年間125日の休日を設定しており、2020年はオリンピック休暇を含む131日の休暇を予定していました。

澤井さん:労働時間が少し長いとしても、労働環境はとても良いですね。自分がきちんと計画を立てて仕事に取り組めば、定時に帰宅しても問題はありません。定時帰宅も残業も、本人の意思で決めるという感じです。

社員の仕事のパフォーマンス、そして感性を養う時間が考えられているイケウチオーガニックの労働環境。しかし、人材の採用に課題となる点としてタオル産業が抱える特有の問題点が挙げられます。

澤井さん:地方の中小企業なので、待遇面では大手企業と比べるとどうしても劣ってしまいます。そこだけにフォーカスしてしまうと、物足りなさを感じてしまう人はいるかもしれませんね。

どんな仕事を選ぶにしても、条件は取捨選択がある程度必要になるでしょう。しかし、タオル業界ならではの事情はあるものの、イケウチオーガニックの仕事に携わりたいと希望する人は絶えません。

未来の人材が担う”ものづくり”

現在、首都圏を中心に感染拡大が懸念される新型コロナ感染症。安全性や暮らしやすさという観点からも、今後さらに地方への人材の流動が予測されています。

池内さん:新型コロナで都会の危険性が明らかになってきました。東京で暮らすことがいかに危険かが浮き彫りになる中で、こちらに帰ってくる人材も増えることでしょう。しかも今治なら、東京などに比べて生活費が大幅に安くなりますよね。

職業体験ができるインターンシップを通して地元の中高生と積極的に関わるという池内代表。未来を担う若者世代の間で、イケウチオーガニックという企業に興味を示す人も多いと言います。

池内さん:インターンシップなどで接する地元の若い世代の中には、ものづくりがしたいという人もたくさんいるので、今後、地元や地元出身者からイケウチオーガニックで働きたいという人材が出てきてくれたらいいね、とよく澤井と話をします。

若手の人材が県外に出て行く傾向にある今治市ですが、将来の希望があるのも事実のようです。

池内さん:今の若い世代の考え方はすごいですよ。行動力もある。驚かされることもたくさんあります。イケウチオーガニックの社員は、今治出身者が極端に少ないんです。ですが、愛媛にもたくさんいます。素晴らしい若者が。

池内さん:今後、愛媛でものづくりをする人は、”どんな事で愛媛を輝かせられるか”という判断をしてほしいと考えています。

安全性を追求し、環境負荷を軽減し、織り機でひとつひとつ丁寧にタオルを織り上げるイケウチオーガニックは、”ものづくり”こそが最大であり唯一の取り柄だと考えていると言います。

池内さん:どんなにきれいな言葉を語っていても、日々やってる業務やものづくりが全然違っていたらおかしいんですよ。うちはものづくりの会社です。うちからものづくりを取り除くと、何も残りません。

さらに進化することを目標に前進し続けるイケウチオーガニック。その独自の取り組みにより、愛媛県今治市の地場産業という枠を超え、『人』と『地球』の新しい未来が生み出されています。現在、そしてこれからイケウチオーガニックの”ものづくり”に携わる人々のエネルギーが、今後の地域を盛り上げる力になります。

文=Takamichi

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