若さとクリエイティブな発想で、美味しいお肉を届ける

子供から大人まで、みんなが大好きな”お肉”。日本の食卓にありふれているお肉ですが、調理方法はもちろんのこと、カットの仕方でも味が変わると言います。愛媛県新居浜市で人気の精肉店「喜多八食肉店」の3代目となる北須賀智大(きたすか ともひろ)さんは、平成6年生まれの25歳。その年齢的な若さによる斬新な発想から、様々なアイデアで精肉店を盛り上げています。以前はサラリーマンも経験したという北須賀さんですが、精肉店に勤務するようになってから、仕事に対する考え方や取り組み方も大きく変化したそう。若さと発想力で新居浜から全国に美味しいお肉を提供する北須賀さんに、ご自身のこれまでのストーリーや仕事のこと、今後の目標などを伺いました。

斬新なアイデアが生きる、新居浜の”美味しく楽しい精肉店”

部位の違いで食感や味も変わるお肉は、毎日のメニューの材料としてだけでなく、ギフトとしても非常に重宝される食材です。

「ただ単にお肉を切って接客をするだけではなく、いろんな新しいパターンを取り入れてやっていきたいと思っています。バレンタインや父の日、母の日、クリスマスといった記念日の中で、今までとは違うコンセプトのイベントをしようと考えています。」

北須賀さんは、その若さと新しい発想で代々続く精肉店を盛り上げています。

「お店に来店して、喜ぶ人が多く絶えないように」という意味を込めて命名された”喜多八”という名前。昭和35年、祖父の代で創業した喜多八食肉店は元々、品質の高い鶏肉を専門で取扱う精肉店だったそう。そして二代目である父親の代では、鶏肉に加えて質の高い豚肉や牛肉を取り扱うようになったそうです。

現在では、特選牛などの量り売りはもちろん、人気の特選黒毛和牛のローストビーフに各種セット、チャーシュー、唐揚げやコロッケなどの毎日のおかずも提供しています。スマホによる便利な事前注文に加えて、店頭での割引ゲームなどのお得なイベントなども開催されており、単に美味しいお肉を購入するだけでは終わらない”楽しい食肉店”として、地域に親しまれています。

精肉店を創意工夫で切り盛りする楽しさと、お客様の声が原動力

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”いつも親切に、いつも新鮮に。”がモットーの喜多八食肉店。

三代目として家業に専念する北須賀さん。現在の立場に就くまでに、どのような経緯を辿ってきたのか伺いました。

「高校を卒業して、すぐに就職しました。今治にある日本食研さんに就職して、食品のタレなどを作っていました。3年間勤めて退職した後、家業である喜多八食肉店に入りました。」

就職当時はその若さゆえ、何のために働くのかについても明確ではなかったと言いますが、それでもハードな仕事を毎日継続して頑張れたのは、職場の先輩に恵まれた事が大きかったと言います。そこで教わった”社会の厳しさ”は、現在の立場に生かされていると語ってくれました。

「喜多八食肉店に入ったのが今から4年前。そのときは本当にお肉の知識がゼロだったので、接客も上手くできませんでした。それで本当に勉強し始めたっていうのが始まりだったんです。勉強し始めて、お肉屋さんはただ単にお肉を売るだけの商売ではないと気づきました。」

現在の仕事の取り組み方についても、企業に勤めていた頃とは大きく違うそう。

「今は1日24時間、ずっと仕事のことを考えていますし、考える事柄自体も多くなりました。サラリーマン時代の時間単位での働き方とは違い、人が休んでいる時であっても働かなければならない所は、ちょっと前よりしんどいかなと思います。」

企業に勤めていたときに比べ、アイデアの捻出や考えなければならないこと、実際に体を動かす事も多くなったと答えてくれました。しかし、その仕事姿には楽しさが溢れ出ています。

「仕事が楽しいです。時にはしんどいんですが、楽しいんですよ。」

来店するお客様の”美味しかった”というレスポンスが何より嬉しいと語る北須賀さん。真摯な姿勢と斬新なアイデアで、地域の人々に満足のいくサービスを提供しています。

着想と豊富なアイデアは”インスタグラム”から

これまでにはなかった新しい工夫を提案する北須賀さん。そのきっかけは、都会の精肉店にあったそう。

「関東の方や、東京のお肉屋さんに行ったのがきっかけでした。そこが本当に見た事のない精肉店だったんです。いろんな記念日に沿ったイベントをしていたので、まずはその精肉店をインスタグラムで調べて参考にしました。」

あらゆる情報を発信することが出来るインスタグラムをはじめとしたSNSの活用は、もはや現代のビジネスにおいては必須とも言えるツールです。精肉を販売する上での発想や着想を得るために、北須賀さんは主にインスタグラムを活用しているとのこと。

「僕も当初からインスタグラムを中心に商品の紹介をしていたんですが、自分中心の発信だったんですよね。写真も下手で文章も長く、ただの自己満足になっていたんです。都会の精肉店が発信する内容を見て、これではダメだっていうことを気づかせてもらいました。そこから商品の写真も綺麗に撮るようになりました。」

北須賀さんの学びは、見栄え良く盛り付けた美味しそうなお肉や、イベント毎の販売戦略に反映されています。

また喜多八食肉店では、メンチカツやコロッケといったフライものやローストビーフ、ビーフシチューなどの贈答用の商品も取り扱っています。都会の精肉店を参考に、これらの商品をインスタグラムで紹介していくうちにフォロワーも増え、メディアにも取り上げられるようになったそう。これまで約50個もの新商品アイデアを捻出したという北須賀さん。喜多八食肉店として、積極的な新商品の開発にも取り組んでいます。

「まだ試作状態なんですけど、ハンバーガーを作りたいと考えています。」

外食産業の中で、ひとつの定番メニューとして人気となっているハンバーガー。”お肉屋さんのハンバーガー”と聞くだけでも、とても気になる商品です。

「”キングレバカツ”という、牛のレバーを使った揚げ物の商品があるのですが、今年2月に幕張メッセで行われたスーパーのバイヤーたちが集まるイベントがあるのですが、そこに出品させてもらった商品です。現在はそれを愛媛の名物にしようと活動しています。」

愛媛県の特産品のひとつ”紅まどんな”は、糖度が高く果汁も多い交配品種のみかん。この”紅まどんな”に対抗できる商品として、”キングレバカツ”を愛媛の名物にするための活動も行っているそう。これら斬新なアイデアを形にすることで、お店の売り上げに繋がる成果を実感していると言います。

情報発信でお店を知ってもらい、お客様の隠れたニーズを満たす

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ただ単純に注文された量のお肉を販売するだけではなく、訪れるお客様のニーズに答えていくことを大切にしている北須賀さん。

精肉店を訪れるお客様は、お肉の各部位に対する適切な調理法や量を把握していない場合が多いと言います。お客様に毎日の献立をヒアリングし、それぞれのお客様に合ったオーダーを作っていくのが、お肉屋さんの腕の見せ所とのこと。

「実際、”今日の献立何にしよう”とか、”今日焼肉したいけど、どんなお肉が良いのか”ということを分からずに来店する人が多いんです。そこでお客様に好みを伺って、どれぐらいの量を食べるのかなどを細かく聞き、お客様に合ったチョイスをひとつひとつしていくという感じです。美容室と同じですね。」

お客様の分からない部分を明確にすることで疑問を解決し、多くのリピーターに愛されている喜多八食肉店ですが、北須賀さんが活動の範囲を広げることで客層にも変化があったそう。

「女性のお客様が増えましたね。その理由にはインスタグラムでの発信もありますし、口コミもあるのですが、今まで露出が少なかったというのが一番の理由ですね。喜多八食肉店が何処にあるのか分からないという人も多かったんですが、露出を増やす事で皆さんが周知してくれるようになりました。訪れやすい環境になったと感じています。」

地元のお肉屋さんと言えども、場所やサービスの内容などは来店してみなければ分かりません。しっかりと情報発信を行い、お客様の隠れたニーズに答えていくことで、女性客の獲得にも繋がったそうです。

”感動”をお客様に。いつも新鮮な気持ちで来店してほしい

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最後に、北須賀さんに今後チャレンジしてみたいことや目標などについて伺いました。

「やっぱり今後も活気は失いたくないですね。”いつも新鮮、いつも親切、お客様には感動を”が僕のモットーなんですが、いつも新鮮というのはお肉を扱う事に対しては当たり前です。その中でもお客様には飽きてほしくないんです。」

毎日のレシピを考えることは、主婦の方々や毎日料理に携わる人にとって時にはストレスとなりがちです。そんなお客様も訪れるため、北須賀さんはこのモットーを突き詰め、地域やお客様に貢献したいと考えているそう。

「買い物自体にいつも新鮮な気持ちでまた来店してほしい。いつも当たり前のサービスに加え、お客様が前回購入した商品を記憶しておき、その会話ができることが最大の親切だと思います。」

お店を訪れた時に、店員さんが自分の顔や前回の注文を覚えてくれていると非常に嬉しい気持ちになります。また、”お客様”として大事にされているという最大の”親切”を感じることができそうです。

古くから新居浜市で親しまれている喜多八食肉店は、若い力と発想力を兼ね備えた三代目の北須賀さんによって、さらなる進化を遂げそうです。

(取材協力)

-喜多八食肉店-