生まれ育った東京から、西条市へ地方移住

愛媛県西条市へ移住した竹尾奈津子(たけお なつこ)さんは、東京都のご出身。田舎暮らしの良さは、都会に居た時の忙しい暮らしがあったからこそ気づくことができていると言います。そして今、竹尾さんが移住生活を通して得た気づきを伝え広める活動に注目が集まっています。そんな竹尾さんに、移住に至った経緯や東京出身ならではの考え、そしてこれからの活動についてお話を伺いました。

慣れ親しんだ東京での忙しい日々

都会と地方の暮らしには、当然のことながら多くの違いがあります。居住人口はもちろんのこと、経済の流れも大きく異なり、時には ” 時間の流れ方が違う ” と表現されることも。愛媛県西条市で暮らす竹尾さんは、アメリカ留学を経て東京でキャリアを積んできました。

「私の実家は、東京の御茶ノ水なんです。東京では、大手英会話スクールに新卒で入社し、店舗マネージメントと営業に携わっていました。その後は、広告代理店で営業に携わりました。ずっと営業畑を歩いてきて、最終的にはモデル事務所の営業をしてました。」

広告代理店勤務中に経験した体調を崩すほどの激務、営業以外にも多くの仕事をこなさなければならないモデル事務所での仕事。東京で多忙な日々を送っていた竹尾さんでしたが、その頃の人脈や仕事は、現在の収入にも繋がっていると言います。

「仕事に携わっている時は大変でした。ですが今も、モデル事務所のお仕事を業務委託という形で、リモートワークでやらせてもらっています。」

竹尾さんは8年ほど前から、リモートワークという柔軟な働き方を先駆けて開始。東京でのキャリアは、現在の愛媛の暮らしにも役立っているそうです。

独自の判断基準で決めた愛媛への移住

竹尾さんは、同じ都会育ちで幼馴染みでもある旦那さんの転勤がきっかけで地方移住に触れることになります。旦那さんが当時勤めていた会社の上司に「田舎暮しをしたい」と胸中を告白。その出来事をきっかけに、山梨県甲府市に転勤することになります。東京で生まれ育ったということもあり、住み慣れた場所から離れたくないという気持ちが強かったという竹尾さん。

「最初は行きたくありませんでした。私は都心で育ったので、そこでしか生きていけないという感覚もありましたし、子供もまだ小さかったので。私と子供は東京で、主人だけが山梨に行きました。そこからお互い週末ごとに東京と山梨を行き来する生活になったのですが、私も甲府に遊びに行くうちに、良いなと思い始めたんです。東京からもそんなに遠くないですし。最終的には子供も連れてみんなで移住することにしました。」

少しずつ新しい生活に慣れていった竹尾さん。しかし、旦那さんが退職したことで、山梨県に住む理由が無くなります。もう一度東京に住む選択肢もなかったため、他の地域への移住を模索し始めたと言います。

「次の移住先は暖かくて食材が美味しく、海のある場所が良いなと思っていました。どうせなら行ったことがないところへと。そして海沿いの街を電話やネットを使って調べて、気に入った場所は資料を取り寄せたりしました。移住に対してオープンだったり補助があったりするところも見ていきましたね。移住した場所で仕事もあれば良いなと思ったので、地域おこし協力隊の要項を確認して、需要があるかどうかなども考慮しました。」

生活のことや仕事のこと、地域に関わるあらゆるポイントを考慮し、自分なりの判断基準に沿って暮らす場所の候補地を絞っていったと言う竹尾さん。様々な検討の結果、愛媛県への移住を決意するに至ります。

西条市と移住希望者を繋げたい

西条市に移住して約1年半という竹尾さん。移住後は本業として、個人でビジネスを行なっている方々のサポートなど、リモートワークを中心としたお仕事を順調にこなしています。今では夫婦ともに、場所に囚われることなく活動を行っているそう。

地方暮らしでは、ごみの分別ルールの違いや近所付き合いの難しさなど、都会暮らしに慣れた人にとっては困り事もつきもの。しかし竹尾さんは、人や地域の良さが際立つ西条市が大好きと語っており、そんな西条市を紹介するYouTubeチャンネル” 5人家族の移住ライフ ”も開設。各種メディアにも取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。

「もともとは、自分たちの移住後の生活を記録するために始めたYouTubeチャンネルでした。後で家族で見返して、面白いなと思えたらという想いで。そこから徐々に移住した経緯や、西条市や愛媛県の良いところを発信していきたいと思い始めました。今では移住したい人の力になりたいという想いが強いですし、西条市のPRになれば良いなぁと思い取り組んでいます。移住希望者と西条市が結ばれればハッピーですよね。」

加えて竹尾さんは今後、自然に囲まれた西条市の空き家などを利用し、プレ留学という取り組みを広めていきたいとのこと。竹尾さんが提供するプレ留学は、海外への留学をする前に数日間、英語漬けの日々を過ごすことができると言います。周囲から隔離されているに近い地方の空き家で英語漬けの生活を送るからこそ、海外にいるような感覚をよりリアルに体験することができるようです。

「実は試験的に1回やってみたんです。イギリス人の先生にも来ていただいて。その時は全国から23人来てくれました。日本人だけで。英語以外の言葉は禁止ですから、みんな英語漬けでした。私もアメリカに留学して4年間過ごした経験があるので、プレ留学中は英語しか話しません。」

東京や大阪、名古屋からも人が訪れるというプレ留学は、都会からの需要もあり、楽しい取り組みなのだそう。

「”プレ留学”という言葉を辞書に載せるくらいメジャーにしたいと取り組んでいます。1年くらいかけて放課後や週末で英語漬けの生活を送れるような環境を整えたいですね。英語のみの生活に慣れるための環境づくりをしていきたいというビジョンがあります。」

アメリカ留学の経験に加え、東京から山梨、そして愛媛県への移住を経験した竹尾さん。好きな場所に暮らすということの大切さ、そして移住希望者に対してもっと気楽に地方移住を考えれば良いのではと語ってくれました。今後も、様々な活動を通して西条市を盛り上げる竹尾さんの動向に注目です。

(取材協力)

― 5人家族の移住ライフ ―